12.26
今度は「茂木派」にパー券収入申告漏れ 526万円が不記載と過少申告で茂木幹事長が刑事告発さる 「政治資金規正法違反で起訴すべき」と専門家
自民党の茂木敏光幹事長が率いる「平成研究会」(茂木派)が2018年から2020年(当時は竹下派)までの間に、政治資金パーティー券収入の不記載及び過少申告が合計526万円あり、当時、会長代行であった茂木衆議院議員ら3人が東京地検に刑事告発された。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
◆業界団体のパー券購入多数が申告漏れ
刑事告発したのは、上脇博之神戸学院大学教授だ。その告発状によると、政治団体「平成研究会」は、2018年から2020年の間に3回、政治資金パーティーを東京プリンスホテルで開催している。
2018年は約1億4413万円、19年は約1億6472万円、20年は約1億8145万円の収入があったと政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載されている。しかし2018年は「全国介護政治連盟」からの30万円、「大阪府医師政治連盟」からの40万円、「埼玉県医師連盟」からのパーティー券収入計96万円を記載していなかった。
同様に2019年も、「健康保険政治連盟」(40万円)、「全国介護福祉政治連盟」(30万円)、「全日本葬祭業政治連盟」(40万円)、「大阪府医師政治連盟」(50万円)、「中小企業共済制度拡充協議会」(40万円)、「日本行政書士政治連盟」(32万円)からの計232万円を収支報告書に記載していなかった。
同様に2020年も、「整形外科医政協議会」(40万円)、「大阪府医師政治連盟」(50万円)、「中小企業共済制度拡充協議会」(40万円)、「全日本トラック事業政治連盟」(46万円)の計176万円を記載しなかった。
また、2020年はパーティー券収入を記載しなかっただけでなく、過少申告も合計22万円あった。「健康保険政治連盟」から70万円収入があったにも関わらず60万円と、10万円少なく記載、同様に「全国宅建政治連盟」から82万円収入があったにも関わらず70万円と収支報告書に記載していた。
「平成研究会」は2018年に竹下亘議員が会長、茂木議員と吉田博美議員を代表代行となり竹下派となった。2021年に竹下議員が死去すると茂木議員が会長となり現在は茂木派となっている。
刑事告発の対象となった政治資金パーティーは竹下派時代に開催されたものだが、竹下氏はすでに亡くなっているため、刑事告発はされていない。
◆裏金の可能性も
刑事告発した上脇博之神戸学院大学教授は次のように指摘した。
「20万円を超えれば収支報告書に明細を記載しなければならないので、遵法精神があれば通常20万円を超える高額支払者を見落とすはずがありませんので、単純なミスではないでしょう。
20万円超の支払いをした企業や個人については収支報告制度がありませんので、不記載はまだまだたくさんある可能性があります。そうであれば526万円は“氷山の一角”に過ぎません。
茂木議員は、当時会長ではなかったものの、竹下会長が病気療養中だったために事実上の会長だったので、会計責任者らと共に刑事告発しました。不記載分をパーティー券収入の総額に含めていなければ裏金になっていたことになります。東京地検はその点も含めて捜査を尽くし政治資金規正法違反の罪で起訴してほしい」
◆安倍派、議員辞職した薗浦氏に続くパー券不正疑惑
同様のパーティー券収入の不記載は、「清和政策研究会」(清和会=現安倍派)でも行われており、同様にすでに刑事告発されている。また、4000万円を越える政治資金パーティー券収入を記載していなかったとして略式起訴され議員辞職した薗浦健太郎元議員の事件も記憶に新しい。
パーティー券収入は20万円以下だと収支報告書に記載しなくてもよいことから、以前から裏金の温床となっていると指摘されている。相次ぐ政治資金パーティーの不記載にも関わらず、こうした不備を是正するための法律改正の声があまり出てこないのはなぜだろうか。
■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
Source: アジアプレス・ネットワーク