11.14
里親家庭を取り上げた英デパートのクリスマス広告が話題に。心温まるストーリーとは
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イギリスで、クリスマスの訪れを感じさせる冬の風物詩になっているのが、老舗デパート「ジョン・ルイス」の広告だ。
さまざまなテーマの心温まるストーリーで、10年以上にわたり人々の心をつかんできた。
11月10日に発表された2022年の広告のタイトルは「初心者」。広告では、1人の男性がクリスマスを前に必死にスケートボードを練習をしている。
どう見てもスケボーの達人とは思えないこの男性。何度も転びながらも練習を続け、時には職場にこっそりスケートボードを持ち込む。
そこまでしてなぜスケートボードの練習を?その理由は、広告の最後で明らかになる。
<ジョン・ルイスの2022年クリスマス広告>
クリスマスに彼とパートナーが暮らす家にやってきたのは、10代の少女エリーだ。
エリーは社会的養護(保護者がいない、もしくは保護者の適切な養育を受けられない子どもたちを、里親など社会全体で養育する仕組み)で育っており、ソーシャルワーカーの横で不安そうな表情を浮かべながらスケートボードを抱えている。
男性は里親となってエリーを迎えるために、スケートボードの練習していたのだ。
一番大事なのは「何をするか」
この広告は、ジョン・ルイスの「幸せな未来を作ろう」キャンペーンの一環として作られた。このキャンペーンでは、社会的養護で育つ若者を長期的に支援している。
ジョン・ルイスにとって1年で最大のイベントであるクリスマス。その広告で里親家庭を取り上げた理由について「大変な一年を過ごす中、私たちは『一番大事なのは何をするかだ』いうことを示すのが重要だと感じた」とプレスリリースで説明している。
そして「クリスマス広告を通して、見過ごされがちな問題について会話と行動を生み出せることを誇りに思っています」と述べている。
また、カスタマー・ディレクターのクレア・ポイントンさんは「ジョン・ルイスにとって、家族は重要なものです。そしてさまざまな形があると考えています。そこで1年で1番重要な時に、見過ごされがちな家族の形の1つに焦点を当てることにしました」とコメントしている。
里親からはさまざまな反応
実際に里親をしている人たちは、広告をどう感じたのだろう。
ロンドン南部に暮らすフェイさんは「涙が出ました」「私たちが若い人たちのためにやっていることを描いています」 とハフポストUK版に話した。
リーズに住むキャロルさんも、広告を見て感動したという。
「この広告は、私たち里親がどうやって子どもたちを歓迎しているかを描いています。クリスマスを特別な時間にすることは里子のためにとても重要なんです」
また、社会的養護で育った若者を支援する団体「Who Cares?」のルイーズ・ハンターCEOは「ジョン・ルイスが、クリスマス広告で異なる形の家族を特集してくれてとても嬉しい。社会的養護で育った何千人ものイギリスの人たちの心に響くと思います」と語った。
その一方で、誰もが広告の内容を歓迎しているわけではない。30年近く里親をしている作家のキャシー・グラスさんは「一回見ただけでは動画の意図がわからなかった」と話す。
さらに、グラスさんは「社会的養護に行き着くまでの苦労は取り上げられておらず、正確な描写ではないと感じました」とも指摘している。
ジョン・ルイスのポイントンさんも、現実は必ずしも広告で描かれたような素晴らしい経験ばかりではない、と述べている。
「すべての里親家庭でエリーのように素晴らしい経験ができるわけではありません。エリーを迎えた家族は優しさに満ちています。私たちは、一番大事なのは何をするかだ、ということを養父の行動を通して伝えたかったのです」
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。
Source: HuffPost