2025
08.01

原爆と「日常」を知る写真展、東京・新宿で開催。ニュートラルな視点で広島・長崎を伝える【戦後80年】

国際ニュースまとめ

原爆が広島と長崎に投下されて80年。

東京・新宿のアイデムフォトギャラリー シリウスで7月31日から開催中の写真展「写真フィルムからよみがえる 原爆の記録と記憶」は、原爆が投下された直後の広島、長崎へ、見る人を強く引き込む。

例えば、展示作品の中の1枚の写真。長崎への原爆投下翌日、爆心地から2.5kmのがれきの広がる街で、防空壕から顔を出した女性が笑顔でカメラに微笑みかけている。その表情は柔らかく、アメリカのニュース雑誌「LIFE」にラッキーガールと紹介されたが、白血病で苦しみ、51歳の若さで生涯を閉じた。

撮影日:1945年8月10日 撮影地:長崎市大黒町( 爆心地より2.5km)撮影者:山端庸介 写真原板管理者:日本写真保存センター画像、内容の無断使用はかたくお断りします Copying photos and sentences without permission is prohibited.撮影日:1945年8月10日
撮影地:長崎市大黒町( 爆心地より2.5km)
撮影者:山端庸介
写真原板管理者:日本写真保存センター
画像、内容の無断使用はかたくお断りします Copying photos and sentences without permission is prohibited.

広島に原爆が投下された当日に、広島地方専売局前で「罹災証明書」を書く藤田徳夫巡査(写真左)は、当時28歳。藤田巡査は、爆心地から約4.7kmの宇品署で被爆したが、御幸橋西詰めの派出所に駆けつけ、市民や学生たちの救護などにあたった。

撮影日:1945年8月6日撮影地:広島市南区皆実町6丁目 撮影者:松重美人 所有者:中国新聞社 写真原板管理者:日本写真保存センター画像、内容の無断使用はかたくお断りします Copying photos and sentences without permission is prohibited.撮影日:1945年8月6日
撮影地:広島市南区皆実町6丁目
撮影者:松重美人
所有者:中国新聞社
写真原板管理者:日本写真保存センター
画像、内容の無断使用はかたくお断りします Copying photos and sentences without permission is prohibited.

原子雲(きのこ雲)を撮影したのは、当時17歳の深田敏夫さん。爆心地から2.6kmの霞町広島陸軍兵器補給廠に動員されており、原子爆弾が炸裂した約20分後に小型カメラでモクモクと上がる巨大な原子雲を捉えている。

撮影日:1945年8月6日 撮影地:広島市南区霞1丁目2番3号撮影者:深田敏夫所有者:広島平和記念資料館 写真原板管理者:日本写真保存センター画像、内容の無断使用はかたくお断りします Copying photos and sentences without permission is prohibited.撮影日:1945年8月6日
撮影地:広島市南区霞1丁目2番3号
撮影者:深田敏夫
所有者:広島平和記念資料館
写真原板管理者:日本写真保存センター
画像、内容の無断使用はかたくお断りします Copying photos and sentences without permission is prohibited.

こうした写真は「センセーショナル」ではないかもしれない。

動画のような音も動きもなく、添えられているのは短いキャプションだ。

だが静かに、原爆の脅威と苦しみがそれまでの日常、そして80年後の今と地続きにあることを訴えかける。

主催した公益社団法人日本写真家協会 日本写真保存センターの山下博さんは「被害の悲惨さをクローズアップするのではなく、状況がニュートラルに伝わる写真を選んだ」と展示のコンセプトを説明する。

写真プリントには、撮影者の意図が色濃く反映される。数多く撮影したカットのどのコマを選ぶかだけでなく、トリミングや焼き込みなど、さまざまな技法で、情報が削ぎ落とされることがある。

一方、フィルムにはより多くの情報が残っている。撮影者が被爆地をどう歩いたのか、何に関心を惹かれ、近寄ったり離れたりしながらどう撮影したのか、フィルムが残っているからこそ分かる状況がある。また、プリントとして広く知られていなくても、当時を鮮明に伝える写真がある。

同センターでは2007年から、そのままでは加水分解が進んで劣化していくフィルムなどの写真原板を収集・保存し、デジタル化した画像データの管理を担っている。現在約37万点があり、原爆に関する300点の中から今回、50点を展示した。

原爆が長崎に投下された翌日に、従軍写真家だった山端庸介氏が撮影した約100コマのコンタクトプリントも展示している。

会期は8月20日まで(日曜及び8月7日から13日は休館)。

開催記念講演として、写真史研究家・白山眞理氏と東京文化財研究所・田良島哲氏による「写真原板が社会に与えた影響について、写真史・博物館それぞれの視点」が8月2日10時30分から、写真家・土田ヒロミ氏による「写真家・土田ヒロミが50年間向き合い続けた『ヒロシマ』」が8月9日10時30分から、いずれも東京都写真美術館1Fホールで行われる。

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Source: HuffPost